コラム

子どもの何を伸ばすの?組み立てる・組み合わせるおもちゃ編

2021.08.06 / 最終更新日:2022.02.01


「組み立てる・組み合わせるおもちゃ」として思い浮かべるのは、パズルや積み木が多いのではないでしょうか。
実はどの年齢でも遊ぶことができるのが、この組み立てる・組み合わせるおもちゃです。
そのため、数え切れないほどの種類があることに驚くかもしれません。

今回は、いくつかの月齢、年齢をピックアップして事例としてご紹介しながら、それぞれのおもちゃが伸ばす、子どもの力について解説していきたいと思います。

月齢・年齢別の組み立てるおもちゃ

パズルや積み木などのおもちゃは、少し成長してから…と考えられている方も多いかもしれません。
しかし、実は0歳時から遊べるものもたくさんあります。

組み立てる・組み合わせるおもちゃが伸ばす子どもの力は非常に多岐にわたっており、だからこそ積極的に選んで遊ばせてあげたいものです。

お子様の発達に合わせて、適切な素材やサイズをきちんと選んであげることで、より楽しみながら知育効果を期待することができます。

6ヶ月~ やわらかい布の積み木


初めての積み木にぴったりなのは、なんといっても布素材の柔らかいものです。
中には、一つ一つの積み木から音が鳴るものもあり、まだまだ積み上げることが難しくても、持ち上げたり、揺らしたりすることでも楽しんで遊ぶことができます。

生後6ヶ月の赤ちゃんの発育・発達

この頃になると、手で支えておすわりができるようになったり、全体的に体に安定感が出てくる頃です。

例えば、両手で支えれば短時間であれば、おすわりもできるようになったりします。
まだまだ体を使うこと自体に慣れていない時期ではあるので、どの子も姿勢を保つこと自体が難しい様子が見られます。
座ろうとしてコロンと転がっているような様子もよくあり、非常にかわいい時期ではないでしょうか。

体を回転させて寝返りを打ったり、手で持ったものをもう片方の手に持ち替えたりすることもできるようになってくる時期でもあります。
この不安定な時期に色々と体を動かしていくことで筋力も発達し、ぷくぷくしている見た目から、少し体が引き締まっていく子も多いと思います。

また感情も豊かになってきて、自分の出す音や周囲の音をよく聞いて聴覚が急速に発達していく時期でもあります。
喃語(なんご)と呼ばれる、「あー」「うー」といった表現も、豊かになってくる頃です。

 

喃語(なんご)とは、乳児が発する意味のない声。言語を獲得する前段階で、声帯の使い方や発声される音を学習している。
最初に「あっあっ」「えっえっ」「あうー」「おぉー」など、母音を使用するクーイングが始まり、その後多音節からなる音(「ばぶばぶ」など)を発声するようになる。
この段階が喃語と呼ばれるものであり、クーイングの段階は通常、喃語に含めない。

喃語の使用によって乳児は口蓋や声帯、横隔膜の使い方を学び、より精密な発声の仕方を覚えていく。

https://ja.wikipedia.org/wiki/喃語

触覚刺激を取り入れる

積み木を掴んだり、握る、転がす、引っ張るなどの動作を通じて、少しずつ指先で力のかけ方を学ぶこともできます。
パイル素材や刺繍糸の手触りの違いの感覚も少しずつ学んでいくことで、指先の感覚統合も進んでいきます。

またおもちゃを口に入れて、触覚を確かめたりすることも多いこの時期ですので、大人が気がつくとよだれでベトベト…ということも日常茶飯事かと思います。
安全性の観点でも、衛生面の観点でも、布製の積み木はメリットがたくさんあります。

視覚刺激と対人関係の基礎

イラストや動物の顔が書いてあるものだと、いないないばあをして遊んだり、動物ごっこなどをして遊ぶこともできます。
想像力を伸ばしながら、自分や親御さんの顔とは違う、人間以外の顔の違いも、子どもはよく見ているものです。
また、おもちゃを通して人と関わる遊びが楽しいことなどを知っていくことも、将来的に対人関係を築いていく能力に関わってきます。

いろいろな音で聴覚刺激に

一つ一つの積み木から、音がなるようなものもたくさんあります。
感覚統合が進んでいく中で、音がなる積み木は、非常に良い聴覚刺激となります。

持ち上げる積み木によって違う音を聞き分けたり、鈴の音や、カシャカシャ、パリパリするような音の違いを習得していくことで、音の変化を楽しみながら、様々な音が存在することを学んでいく時期です。

このような布素材のパズルは意外と長く遊べますし、汚れたらお洗濯が可能なものも多いです。
外出時にも携帯しやすいので、初めての場所に行くときなど、一緒にお出かけすると安心するお子様も多いと思います。

1歳半~ パズルボード


パズルボードとは、イラストの書かれたボードに、動物や、乗り物の形を当てはめていくようなパズルのことです。
パズルの下に、同じイラストが書いてあるものも多く、大人の目から見るとかなり簡単なパズルに思えるかもしれません。
ですが1歳半程度の子どもたちにとっては、目からの視覚情報を使って脳を働かせながら、同じイラストと照らし合わせて、指先を動かして正しい形を当てはめていく、という、実は複雑な動きが必要なおもちゃです。

生後1歳半の子どもの発育・発達

歩くことが上手になってきて、よく自己主張をするようになります。
同時に、なんでも自分でやってみたい!という気持ちが芽生えてきて、なかなか目を離せない時期でもあります。

この時期は、だんだんと歩き方が自然になってきて、上手に手足を使い、バランス良く歩いたり小走りができる子もでてきます。
離乳食を卒業し、歯が生え揃ってきて大人と同じものを食べる子も多くなるのではないでしょうか。
また、指先で力加減を調節するような、こまかく複雑な動きを習得し始めるようになってきます。

1歳半頃におすすめ!パズルボードの特徴

特徴としては、土台が木だったり、分厚くなっていたりしてしっかりしているものが多く、小さな子どもが扱うおもちゃとして安定感があります。
ぐらぐらと崩れたり不安定にならないので、目の前のパズルに集中することができます。

まだまだ視野が狭く、あちこちに注意を向けることが難しいこの時期には、目の前の遊びに集中できる環境も重要です。
そのうちの一つとして、パズルボードの土台がしっかりと安定していることには大きな意味があります。

おもちゃの対象年齢の意味

この年齢が対象のパズル・ボードは、パズルの種類が多すぎず複雑すぎないように調整されていて、10種類ほどの大きめのかたちになっていることが多いです。
持ちやすいように取っ手がついているものも多くあり、ボードにどのかたちを当てはめたら良いか?という思考に子どもが集中できるようになっています。

このように、子どもが目の前の遊びに集中できるおもちゃの工夫が、各メーカーで出しているおもちゃにはたくさんしてあります。
これには非常に重要な役割があり、それによって伸びる力も代わってきます。
おもちゃの対象年齢って、どんな意味があるんだろう?と疑問に思う人も多いとは思いますが、月齢や年齢に合わせた、適切なおもちゃを選ぶことの意味の一つでもあります。

対人関係の視点から

パズル・ボードであれば、もし1人で遊ぶのが難しくても「このかたちかな?」「この丸いところを合わせてみよう」などと大人が声掛けすることで、楽しんで遊べる子が多いのではないでしょうか。

大人からの声掛けをきっかけに、頭や指先を同時に使うことになるので、子どもの思考力や、想像力、空間認識能力をぐんぐん伸ばしていくことができます。

3歳~ 積み上げるバランスゲーム


積み上げるおもちゃとして、3歳頃になると複雑な積み木も楽しんで遊ぶことができるようになります。
積み木には様々なバリエーションがありますが、その中でも、バランスを取って積み上げていくバランスゲームに注目してみます。

バランスゲームとは、様々なかたちのブロックなどを、バランスを取りながら積み上げていき、崩さないように完成させるおもちゃです。
1歳半頃のおもちゃとしてご紹介した、パズルボードとは異なり、この頃になると土台がグラグラしたものでも、楽しんで遊ぶことができるようになります。

例えば、半円などのゆらゆら揺れる土台に、様々な形の積み木を積んでいくバランスゲームなどが市販されています。
この頃になると、子どもの視野も少しずつ広くなり、同時に様々なものを視覚で把握し、考えて手先を動かすことが非常に上手になってきています。
そのため、グラグラ揺れる土台、様々な形や重さの積み木、それを乗せることでどう全体のバランスが変わっていくかを、楽しむことができるようになってきます。

3歳頃の子どもの発育・発達

体重や身長の伸びはだんだんとゆるやかになってくる時期で、いわゆる赤ちゃん体型から、少しスラリとした幼児体型になってきます。
筋力も発達してきて、ジャンプをしたり、走ることが上手になる時期です。
この頃には乳歯もすべて生え揃い、硬いものもしっかりと噛んで、飲み込むことができるようになります。

この頃は、身体的な発育が緩やかになってきますが、心が急激に成長していく時期になります。
1歳半頃から芽生えてきた自立心がさらに強くなる時期で、
「自分」という意識も強くなってきて、好きなことやしたいことがはっきりしてきたり、なんでも自分でやりたいと主張するようにもなります。

例えばおでかけの準備も、お子さんの「やってみたい!」を尊重するために、根気強くお子様を待つようにしている親御さんも多いのではないでしょうか。

靴を履くとき、荷物を準備するとき、今日の服を選ぶときなど、
親御さんがやってしまったほうが早く終わりますが「やってみたい!」から、「できた!」を経験することが、この時期のお子さんの様々な力を伸ばしたり、自己肯定感を育むことに繋がります。
とは言いつつも、これらは絶対に毎回自分でやってみることを経験させなければいけない、というものでもありません。
親御さんがストレスになりすぎないように、自分でやってみるときと、急いでいるときは「今日はお父さんがやっちゃうね!」などのメリハリはあって良いものと思います。
くれぐれも、子どもの成長のために!と無理しすぎないようにしてくだいね。

言語発達の面でみると、自己紹介を他の人にするようになったり、自分の好きなことや興味関心のあることを延々とお話するようにもなってきます。
子どもの心の発達の側面のことも考えながら、子どもの主張とやってみたいを叶えつつ、毎日の育児をしていくことは大変な側面も非常に増えてきます。
しかしコミュニケーションが取れるようになったり、親子関係もだんだんと変化する時期で、子どもとのやりとりができる楽しさが子育てに加わってくる頃です。
この時期ならではのやり取りにきちんと大人が答えてあげることで、子どもの心もぐんぐん伸ばしていくことができます。

バランスゲームが育てる集中力

かたちやサイズが異なるブロックを積み上げてバランスを取るようなおもちゃの場合は、集中して目の前のおもちゃに取り組んでいなければ、簡単に作り上げたものが壊れてしまいます。
また、自分の力加減や、積み上げるときに置く強さの違いでも、うまくいったり壊れたりすることを学ぶことができます。

そのため、自然と目の前のおもちゃにフォーカスし、集中する力が養われます。
また、完成するまでの一定時間集中することも、一点に集中する時間から、遊び終わったときの集中力からの解放される感覚を経験することができます。

このとき何が起こっているかを脳科学の観点で見てみると、
緊張して集中することで、ほどよい緊張状態になることで、脳の中にはストレスホルモンが放出されます。
そして緊張感を保って収集して遊んで、一度は緊張感が高まった状態をキープすることになります。

バランスゲームで自分が思うかたちにうまくいったり、崩れてしまってゲームが終わったときなどには、緊張や集中から解放され、脳内のストレスホルモンが減って、リラックス状態となります。
このときに、脳には気持ちよさを感じるホルモンが分泌されます。

無意識に感じるこの気持ちよさが、子どもが集中できる時間を少しずつ伸ばしていくことにもなります。
ごはんやおやつのことも忘れて、子どもが集中して遊んでいるときには、そのように集中力が鍛えられている瞬間かもしれません。

バランスゲームの良さは、うまく行っても、失敗しても、終わりが明確で、この緊張と集中と、解放の瞬間を簡単に経験することができる点にあります。

視覚刺激で育てる色彩感覚

このようなブロックなどは、色とりどりのカラフルなものが多いです。
お子さんによっては、同じ色をまとめたり、色とりどりにしたり、規則的に色を並べることを楽しむ子も多いのではないでしょうか。

お子さんのこだわりや、個性が見えてくる非常に楽しいところで、
ぜひいろいろなものを自由に作る経験をさせたい時期です。
「この色がきれいだね」「このかたちが良いね」など声掛けしていくことで、より子どもの自己肯定感も伸び、良い記憶として蓄積されていきます。
こうして、自分の手でいろいろな色の並びを作ってみることで、色彩感覚や、好きな色が確立していきます。

まとめ


物の形を認識したり、把握する力を育てるだけと思われがちの組み立てる、組み合わせるおもちゃですが、子どもの様々な力を劇的に伸ばしてくれることが伝わったでしょうか。

知育玩具は様々なタイプのものがありますが、対象年齢と、お子様ご自身の発達の様子を見ながら、様々なもので遊ぶ経験をさせたいものです。

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