コラム

動画やプログラミングを使ったおもちゃで、子どもの何が伸びるの?

2021.10.01 / 最終更新日:2022.02.01


今の子どもたちは、いわゆる「デジタルネイティブ」と呼ばれています。
物心ついたときからパソコンやスマートフォンがそばにあり、今の大人達とは異なる、様々な価値観で、多様なコミュニケーションを使いこなします。

幼い頃からYou TubeやNetflixのような動画配信サービスが当たり前のようにあるのも、DVDやビデオテープを観て育った世代にとっては不思議な感覚ではないでしょうか。
今は、おもちゃであるゲーム機器でさえ、ネットに繋がっている時代です。

おもちゃにおいても、昔から変わらないものもあれば、動画やプログラミングを活用した新たなものが日々生まれています。

今回は、そのようなデジタルネイティブ世代の子どもたちの子育てに触れながら、現代ならではのおもちゃをご紹介します。

幼児期の子どもたちってどんな時期なの?

まずは、幼児期の子どもたちはどんな時期にあるのかを見ていきたいと思います。
幼児期は、戻ってやり直すことができない、大切な時期です。

大人になってからの1年とは比べ物に無いほど、この時期には様々な側面で、子どもたちは爆発的に成長していきます。
大きく分けると、下記のような側面があります。

発達の側面

幼児期は、人間らしさの基礎となる発達が促される、大切な時期です。

できることがたくさん増え、どんどん新しい能力を身に着けていきます。
さらに、身体の様々な感覚器が、急スピードで成長し、感覚統合も進んでいきます。

そこで気になるのは、「我が子は今平均と比べると発達に遅れがないか?」というところではないでしょうか。
同じ月齢や、年齢のお子さんと比べて、自分のお子さんの発達が遅れているのでは?と心配になる親御さんもいるかと思います。

最近では、ネットで様々な情報が溢れているため、調べたことがある方も多いと思います。

この時期には一人ひとりの成長スピードがあり、あまり他のお子さんと比較して神経質になる必要はありません。
気になることがあれば、健診や小児科受診などの機会に相談してみると良いでしょう。

もし、平均と比べて大きく遅れがあるような場合は、そこで相談に乗ってもらうことができるはずです。
そのときには、専門家の力を借りて、お子さんに必要なことは何かを考えていけると良いと思います。

できないこと、遅れているかも?と思うことに囚われすぎる必要はありません。
その時お子さんができるようになったこと、成長したことをしっかりと認めて声掛けしてあげることで、少しずつ自己肯定感を育みながら、成長を促していけると良いと思います。

成長の側面

幼児期の目に見える変化として、身長や体重があっという間に変化していきます。
気がつけば、買ったばかりの服もすぐにサイズアウト…なんてことも珍しくはないでしょう。

実はそれだけでなく、脳や神経など、未発達で生まれた部分もぐんぐん成長する、重要な時期です。

スキャモンの成長曲線というグラフがあります。
これは、20歳時点での臓器の成長量を100%として、おおよその年齢に応じて身体の中がどのように成長しているかを表したグラフです。

●リンパ系型…胸腺、リンパ腺、扁桃など
●神経系型…脳、脳頭蓋骨、脊髄、眼など
●一般系型…骨格、筋肉、循環器、消化器、顎骨、血管、血液など
●生殖器型…精巣、卵巣、性器など

このグラフが示しているのは、子どもの各臓器、各器官の成長は一律に進んでいくわけではなく、年齢によってばらつきがあるということです。
さらにその中でも、個人差が大きくあります。

お子さんの発達について専門家に相談しても「少し成長を待ってみましょう」と返ってきた経験がある親御さんもいるのではないでしょうか。
このように、子どもの成長は複雑に様々な順序で発達していくため、スキャモンの発達曲線のような目安はあっても、一律に年齢などで比較することは難しいのです。

それは、このように年齢で一律に見ることができない様々な理由があるからです。

習慣の側面

幼児期は、毎日の生活で繰り返す行動が習慣となり、身についていく時期でもあります。
たとえば2歳頃から始めるトイレトレーニングなどは、その代表です。

物心ついた時には自然にできるようになっている、尿意や便意を感じた時にトイレに自分で行き、きちんとした姿勢で排泄し、清潔を保つということは、親御さんや保育園などでの地道なトレーニングがあって身についた習慣です。

自分で着替えをするときにも、ファスナーを自分で開け閉めしたり、靴の脱ぎ履きでマジックテープを剥がしたり左右間違えずに履くなど、大きくなって日常的に必要な習慣をこの頃にはたくさん身につけていきます。

可能性の側面

幼児期は、どんなことにも興味を示す、無限大の可能性を秘めている時期です。

他の記事の中でも、大きくなってからの学びの種まきを幼児期に!ということを繰り返し書いてきました。
様々なものに興味を示し、一時的にハマったり飽きたりを繰り返しながら、自分の好きなものや興味を持てるものを見つけていきます。

先週これに夢中になっていたからおもちゃを購入したのに、もう次の遊びにブームがうつっている!などということはよくあることです。

本当に気に入ったり、長く遊んでいるものにはお金をかけて良いものを買ったり、少し本物志向のおもちゃを購入して、その他のおもちゃはレンタルや手作りで様子を見る、というご家庭も多くいらっしゃいます。

これら4つの側面からもわかるように、幼児期の子どもたちは、様々なことを吸収してできることをどんどん増やしていく時期です。

動画やプログラミングを使った子どもの発育を促すおもちゃ

子供向けタブレット

現在は様々な子ども向けタブレットが販売されており、3歳頃から小学校低学年の頃まで、比較的長く遊ぶことができるものも発売されています。

カメラ搭載のものもあり、カメラと液晶ディスプレイを活用して、楽しみながら学んでいくことができます。

「さんすう」「こくご」「えいご」など基礎的な科目のみではなく、「プログラミング」などのアプリも収録されているものもあります。

機種によっては、パソコンタイプでも使えて、取り外してタブレットとして使用できるものもあります。
親御さんがそのようなタイプのPCを使っている場合などは、大人と同じ形のもので興味を持って遊ぶこともできるのではないでしょうか。

タッチペンがついているタイプだと、直感的な入力や、文字を書いて学んでいくこともできます。

また、算数など、数に特化しているタイプのタブレットもあります。
足し算、引き算、掛け算、割り算なども学べて、音声ドリルがあったり、電卓機能について学ぶこともできます。

学校や保育園、幼稚園で習うよりも先に、興味をもったらどんどん自分のペースで学びを進めていくことも可能です。

最近では、TV番組などでも謎解きが流行っていることもあり、謎解きを通して学習を深めたり、思考力を鍛えるようなものも発売されています。
ドリルのような形式ではなく、考える力を身に着けさせたいという場合には、そのような謎解き形式に特化したものを選ぶのも良いでしょう。

おえかきのようなかんたんなものから、小学校で習う学習の基礎まで、子ども向けタブレットで学ぶことができる内容は多岐に渡ります。

身に付けさせたい内容から、お子さんが興味を持って学べるものを選んでいきたいものです。

動画アプリ

子どもたちは、動画が大好きですよね。
スマートフォンを大人が使っていると、You Tubeを見たがるお子さんもたくさんいると思います。

お子さんにYou Tubeなどの動画をスマートフォンで見せることには賛否両論がありますが、全てダメだとは思いません。

重要なことは、適しているものを大人がきちんと選んで、どの範囲で動画を見るかをある程度コントロールすることです。

主な子ども向け動画アプリには、下記のようなものがあります。
●You Tube Kids https://www.youtubekids.com/?hl=ja
●NHK Kids https://www.nhk.or.jp/school/kids/
●Amazon Kids https://www.amazon.co.jp/Amazon-com-Amazon-Kids-FreeTime/dp/B08BPK8X7C
●しまじろうクラブ https://kodomo.benesse.ne.jp/open/
●ピタゴラアプリ http://pitagoraapp.euphrates.jp/

今はゲーム機器でさえインターネットに繋がり、子どもたちは自分の興味のあるものを「検索」さえすれば、様々な情報が出てくことを幼い年令で理解します。

ですが、何もかもフリーで幼い子どもに動画を検索して見せてしまうことは、おすすめできません。
年齢に合わせて、きちんとフィルタリングをかけたり、約束事を決めることが重要です。

年齢に合わせて正しく使うことで、メリットもあります。
教育的意義のある動画もたくさんありますし、eラーニング要素がある動画もあります。

また、簡単に本物の音楽やダンス、スポーツに触れることもできます。
昔は難しかった、オリンピックでの素晴らしいプレーを手元のタブレットで繰り返し見てイメージを膨らませ、実際に自分で挑戦してみることも、今の子どもたちは可能なのです。

動画を見た経験からお子さんが動画作りに興味を持って、動画クリエイターという夢を持つこともあります。

我々大人の世代にとっては「子どもは外で身体を動かして遊ぶもの」という固定概念がどうしても邪魔をしてしまいますが、動画を見ることを禁止するのは今の時代の子育てにおいてはすでに難しくなっていると思います。

大人がある程度の年齢までは見守りながら、どう動画を使って遊んだり学んだりすると良いかを教えていってあげましょう。

また別の側面から考えると、子育てにおいては、いつも子どもの発達に気を配り発達に良いことだけを選ぶのは難しいことと思います。
状況的に、お子さんにスマートフォンを渡して動画を見ていてもらう必要があることも、ほとんどのご家庭で経験したことがあるのではないでしょうか。

それによって、罪悪感を感じてしまう親御さんもいるかと思いますが、どうしてものときは仕方ありません。
いつもいつも親が完璧に、とはいかないもの。

そんな時に差し出すタブレットやスマートフォンの動画が、お子さんが見ても良いものにフィルタリングされていると望ましいです。

プログラミングが学べるロボット知育玩具

近年、子どもたちの習い事としてプログラミングが流行しています。
プログラミングを幼少期に学ぶことで、想像力や、創造力を育むことができるとして、注目を浴びているのです。

小学生や中学生になると、本格的にパソコンでのプログラミングをすることが多くなりますが、実はもっと低年齢でも遊びながら学ぶことができるおもちゃが続々と発売されています。

こちらは、対象年齢3歳から。
アメリカで2014年に発売された、わずか3センチ弱のロボット知育玩具です。
ペンで書いた線をたどって進む機能を持つロボットですが、色の組み合わせで様々な命令をすることができます。

ペンの色の組み合わせで、「赤・青・赤」とすると、ロボットが「3秒とまれ」と認識したり、「碧・青・碧」と書くと、「道が途切れてもまっすぐ進め」という命令を認識します。

他にもたくさんの種類の命令があり、組み合わせることで思うようにロボットを動かすことができます。

道をペンでいくらでも作ることができるので、マップを自分で考えて作るような思考力や創造力も養うことができます。

こちらも、対象年齢3歳から。
イモムシ型のロボット知育玩具です。

このロボットは、身体の関節パーツの一つ一つがプログラム(命令)を持つロボットに鳴っていて、そのパーツを組み合わせることで様々な動きを実現することができます。

たとえば、緑の関節パーツは直進、黄色の関節パーツは90度右に曲がる、紫の関節パーツは止まって音・光を出す、などのプログラムの命令が組み込まれています。

これらの関節パーツをつないでいくことで、自分が動かしたい命令を組み合わせて動かします。

このように、パソコンにコードを打ち込むことをプログラミングというのではなく、「決められたルールに従って、自分でそれらを組み合わせて命令を与えること」を指します。

小さな頃からこのようなおもちゃで遊ぶことで、自然とプログラミングの概念を学んでいくことができます。

まとめ

子どもたちが遊ぶ「おもちゃ」は、時代とともに変化していっています。
我々大人の世代がイメージする「おもちゃ」とは違うものもたくさん出てきていますが、お子さんのどんな力を伸ばすのかを理解して遊ばせることができると良いですよね。

プログラミングができるおもちゃなんかは、大人も一緒に夢中になって遊べることと思います。
ぜひお子さんと一緒に遊んでみてください。