コラム

指先の発達にフォーカス!指先遊びで脳の発達を促そう

2021.10.08 / 最終更新日:2022.02.01

皆さんは、手でものを触ったときに、フワフワとツルツルの区別ができますか?
他にも、熱いものに触ってしまった時は、反射的に手を引くことができると思います。
指先は、物の表面の感触を識別したり、温度を感じることができたり、力加減を繊細に調整することができます。

私達は、一体いつからそのようなことができるようになったのでしょうか。
はっきりといつからできるようになったか、わからない人がほとんどだと思います。
それは、小さな頃から時間をかけて、あなたのスピードで少しずつ発達してきたからです。

今回は、どのようなことをすると、手や指の発達につながるのかをまとめていきたいと思います。

人間の赤ちゃんの特徴

人間の赤ちゃんの身体発達は未熟

人間の赤ちゃんは、身体的に未熟な状態で生まれてくることをご存知でしょうか。
生まれたばかりの赤ちゃんができることは、非常に限られています。
泣くこと、呼吸をすること、心臓を動かすこと、外部からの刺激に反応(反射)するなど、生命を維持するための最低限の内容です。

もちろん、歩くこともできないし、自分で食べ物を探すこともできません。
誰かがお世話をしないと、生きていくことすらできないのです。
数年間にわたり誰かにお世話をしてもらって、少しずつ一人でできることが増えていきます。

他の哺乳類の赤ちゃんはできることがたくさんある!

生まれたばかりの赤ちゃんが何もできない存在なのは、当たり前のように感じるかもしれません。
ですが、哺乳類の中ではむしろ人間の方が珍しい存在です。

多くの哺乳類の赤ちゃんは、生まれてすぐに立ち上がる、歩く、泳ぐなど、最低限、自力で生きていける状態まで、親のお腹の中で身体的に発達してから生まれてきます。
生まれたばかりでも、すぐに自分で親のミルクを探し当て、ゴクゴク飲んでいる動物もたくさんいます。

それに対して人間の赤ちゃんは、生まれたばかりの時は首も座っておらず、寝返りすらできません。

生後2ヶ月くらいでやっと色に違いがあることがわかるようになったり、音や言葉の違いを聞き分けられるようになってきます。
生後8ヶ月頃になると、記憶機能が発達してきます。
いろいろなことを覚えることができるようになったお子さんの成長に感動することでしょう。
生後11~12ヶ月頃になると、やっとつかまり立ちを経て歩き始めることができます。

また、他の哺乳類が生後1年にもなれば、立派に群れの一員になるのに比べ、人間の赤ちゃんはとても幼少期が長いことも特徴的です。
少なくとも小学生になるまでは、大人が常に行動を見守って安全を確保していく必要があります。

赤ちゃんの脳は毎日発達する


身体的に未熟な状態で生まれてくる人間の赤ちゃんですが、みるみるできることが増えていくことに驚くでしょう。

その成長スピードの理由は、優れた学習能力を備えた、脳と、外部からたくさんの刺激を取り入れることができる感覚器官をもっているからです。
脳に学習したことをどんどん書き込みながら、様々な外部からの刺激を取り入れて、自分のいる環境に合わせるかたちで発達していきます。

赤ちゃんは「あー」「うー」と言った言葉を話している期間から、あっという間に言葉が話せるようになり、会話が成立するようになります。
少しずつ言葉を習得していく様子は、非常に可愛いとともに、会話レベルの上達スピードの速さに目を見張ります。

さらに、少しずつ複雑なものごとを見て自分なりに判断したり、やりたくないこととやりたいことを比較して、好きな方を選んだりすることができるようにもなります。

人間の脳の神経細胞の成長は凄まじく、2歳までに成人の60%、6歳までには90%に成長することが明らかになっています。
脳に比べて身体的な成長はゆっくりで、思春期以降も続いていきますが、脳は幼少期に爆発的なスピードで成長していることがわかります。

脳が発達するためには刺激が必要


脳の爆発的なスピードの成長に必要不可欠なもの。
それは外部からの刺激です。

例えば、話しかけられたり、手におもちゃを持たせたり、音楽を聴かせることも有効です。
少し成長してきたら、絵本の読み聞かせなどでも、音を聞きながら絵本を見て、考えたり怖がったりおしゃべりをしながら、絵本の手触りも感じることができ、五感をフルに使うことができます。

そういった小さな外部刺激を積み重ねていくことで、脳内の神経回路がつながっていきます。

少しずつ、神経回路がつながっていくと、身体的にも情緒的にも大きく成長していきます。

手や指はたくさんの神経の通り道

どの器官が脳のたくさんの部分を使うのか?

身体の神経機能と、脳の発達について考える時に、有名なホムンクルスというものがあります。

とってもインパクトがありますよね。
このホムンクルスは、カナダの脳神経外科医のペンフィールドが考案したものです。
手や唇が大きく、足、胴体、腕などはとても細いのが特徴的です。

これは、脳の中にある身体の動きや感覚をつかさどる部分の比率を、わかりやすく人間の身体の大きさに表したものです。
わかりやすく言うと、大きな部分が、身体の他の部分に比べて脳の多くを使っていることを示しています。

指先や手には神経がたくさん集まっていることもあり、手や指の発達は、脳の発達にも大きく影響するため、手や指の発達を促すことは脳の発達にも大きな影響を与えることが、最近の脳科学に関する研究で明らかになっています。
不器用でも、手を動かす活動を子どもの頃におろそかにしてしまうと、脳の発達もそれだけ滞ることになります。
ぜひ発達を促す遊びをたくさん取り入れて、脳神経の発達を促していきたいものです。

手は第二の脳


たくさんの神経が通っている指や手を動かす遊びをすることで、子どもの感覚器官はどんどん発達していき、脳の発達も進みます。
すなわち、手指の発達を促すことは、脳の発達を促すことと言えます。

脳が発達するということは、五感で取り入れた外部からの刺激を、一旦自分の脳で受け取り、それに対して考えたり、判断したり、行動することに繋がります。
それが、思考力や言語能力、運動能力が育まれるということなのです。

また、「手先が器用」という表現を聞いたことがあると思います。
食事の時におはしを使ったり、着替えでボタンやファスナーを開け示したり、日常動作をするためにも、手先の発達が必要になります。

手指が発達するとどうなるの?

動きの再獲得

生まれてきた後は、赤ちゃんはお母さんのお腹の中と違って重力の中で生活することになります。
お腹の中では、キックをしたり、動き回っていた赤ちゃんですが、生まれた後に自分の身体を自由に動かせるようになるのは、だいたい3歳頃です。
それまでは、日常生活や遊びの中で動きを改めて獲得していきます。

目と手の協応運動

まだまだ成長途中の子どもは、目や耳、皮膚などの感覚が完全に統合していません。
目に見えないアンバランスなデコボコを、成長とともに整えていくことになります。
それには、五感への刺激が非常に重要です。

目で見たとおりに何かを動かすということは、目で見たものを指先の動きを統合させて、手先を器用に使うことを同時に行っていく力を獲得してからになります。

手の発達の変化

手のひらで何かを握ったり、指先で掴む、ものを伸ばす、ひねる、つまむなど、手や指の動きも順番に発達していきます。
距離感や空間認識能力、また日常生活に必要な基本的な動作を学んでいきます。

手遊び・指遊びができるおもちゃ

0歳頃から遊べる 握る・引っ張るおもちゃ


手指の発達に合わせて、長く遊ぶことができます。
木の棒とゴムでできているこのおもちゃは、引っ張り合う力でバランスを保っており、小さな手でも握りやすいデザインになっています。

さらに、どこから力を加えても、つぶれてまたもとに戻るため、赤ちゃんの好奇心をくすぐります。

約3~6ヶ月頃からは、ものを握る練習の時期でもあります。
また何でも口に入れて感触を確かめる頃でもあるため、遊び終わった後はきれいに拭いて衛生を保ちつつ、感覚統合の過程を見守ってあげてください。

6~9ヶ月ころには、握ったり離したりする動作で、自然と握力も見についてきます。
手指だけではなく、手首をひっくりかえす動作も始まり、ケガの防止にも役立ちます。

また、つかまり立ちの時期には、このような握りやすいおもちゃを持って歩くことで、姿勢の保持や安定にも役立ちます。

片手だけの動きから両手の動きに


こちらのおもちゃは、歯車のように噛み合っており、一緒にくるくると回ります。
片手で持つと、くるくる回り始めるおもちゃにお子さんの視覚もしげきされることでしょう。

口に入れても飲み込むことができない大きさですので、感触を確かめたり、歯固めにも役立ちます。
最初は口の中に入れてカミカミしているだけでも、回し方をお子さん自身で発見したり、回したり投げたりして遊ぶこともできます。

柔らかなボール


ソフトボールくらいのサイズで、握りしめると小さくなって大人の手のひらに入ってしまうサイズです。
また手触りもゴワゴワしていたり、フワフワだったりします。

中身がスポンジのものを選ぶと、投げて当たっても痛くなく、子どもの力に応じたスピードで遊ぶことができます。

1歳頃から、大人が握って離し、いないないばあのように遊ぶことができます。
そのうち少しずつ真似をし始めることと思います。
赤ちゃんは、握る動作はすぐにできるようになりますが、話すことができるようになるためには、指の動きや反応を理解しないとできません。
繰り返して一緒に遊んでみてください。
またお子さん自身で掴んだり転がしたり、潰したりして、遊ぶことが可能です。

2歳頃になると、片手で掴んで投げることもできるようになってきます。
身体のバランスを上手く保つことや、肩の動きが発達してこないと難しいのですが、上手に投げることができたときにはぜひ褒めてあげましょう。

4歳頃になると、ボールを遠くに投げることができるようになってきます。
投げる際には、両足で立って、身体をひねることもできるようになります。
このような動きは、体幹が安定してきたり、身体の軸がはっきりとしてきてやっとできるようになるものです。
さらに、ラケットなどの道具を使って遊ぶこともできます。

形を合わせて入れるおもちゃ


指先が上手に動かせるようになってくると、このようなおもちゃに興味を示すようになります。
丸、三角、四角などのブロックの色や形を合わせたり、大きな鍵で扉を開け締めする動作で、手や指の発達を促します。

音が出るものもあるため、楽しんで長く遊ぶことができます。
最初は、形を合わせてカチカチとするだけでも十分に楽しく遊べます。

お気に入りの形や、得意な形を見つけたら、ぜひ声掛けして上げましょう。
上手に合わせることができなくても、握りしめて考えるだけでも脳の発達に良い影響があります。

まとめ

この記事でご紹介した以外にも、手の動きは様々で、年齢とともに変化していきます。
お子さんが気に入って、長く遊ぶことができるおもちゃをぜひ探してみてください。
また、完璧にできるようになることを目指すのではなく、お子さんが今できることを見つけて、声掛けしてあげると、楽しみながら手や指先を発達させていくことができます。